嘘とワンダーランド
課長が頭を下げたことに驚いたと言うように、周りは言葉を発することができないようだった。

彼の隣にいるわたしはどうすればいいのかわからなかった。

何かしゃべらないと…。

「えっと、その…」

とりあえず何から話せばいいかと考えていた時、
「仕方がなかったんじゃねーか?

仕事とプライベートが忙しくてバタバタしていたんだったら」

京やんが言った。

それに驚いたと言うように課長は頭をあげると、京やんを見つめた。

「みんなで祝福してやろうよ。

入社以来ずっと仲良くしていた同期が結婚してくれて、俺は嬉しいよ。

ほら、拍手しよーぜ」

京やんがパチパチと拍手をしたのを皮切りに、あちこちから拍手があがった。
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