嘘とワンダーランド
ちなみに実力の方では京やんの方が上だ。

彼は大学で服飾・被服学の勉強をしていたうえに、3人の姉がいることも手伝ってか女性のファッション事情にとても詳しかった。

母親は元ファッションモデル、2番目の姉が紳士服店に勤務していると言うことをいつかの昼休みで聞いたことがあった。

そのうえファッションだけじゃなく、ネイルアートや料理、美容に詳しい“女子力男子”でもある。

それらのおかげもあり、京やんがデザインした下着は2回も採用されている。

ただし2回とも商品化には至らなかったらしいけど、1回もデザインが採用されたことがないわたしからして見たらものすごいとしか言いようがなかった。

「あー、そうだね」

小声で言い返すと、わたしは課長のデスクに視線を向けた。
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