GOLD BOY〜不良彼氏〜



泣きそうになりながらも、全校生徒の前で泣くなんてみっともないから、泣くのを堪えた。



あっという間に時間も過ぎていて、前に並んでる女の子二人組がもうたこ焼きを買っていた。



女の子二人組はキャッキャと嬉しそうに高い声で、たこ焼きを売ってる人と話してる。



ここに並んでる屋台は、一つのクラスが出してるものらしく、


屋台でものを売ってる人を一通り見てみると、三年だと分かった。



このたこ焼きを売ってる人は、どうもかっこいい男だから、女の客ばかりなのかもしれない。



それにしても、前の女の子二人組はテンションが急上昇していて、とても嬉しそう。



そんなにかっこいい男が三年にいたっけ?



なんて考えてる時に、ちょうど前の二人組がはけて、私の買う順番が来た。



いったいどんなかっこいい男が、たこ焼きを売ってるんだ?



やっぱりそこがどうしても気になった私は、たこ焼きを頼むより、



たこ焼きを売って、女の子たちにキャーキャー言われてる、その男の顔を見ようと顔を上げた。




「………」




………。
………。
………。



顔を上げた瞬間、私から言葉が出てくることはなく、口が閉じることもなかった。



その時の私には“絶句”という言葉が一番合うのかもしれない。



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