GOLD BOY〜不良彼氏〜
その声は久々に聞いた声で、その低く小さな声が私の胸をギュッと締め付けた。
「行くなよ、美鈴」
ゆずの後を追うようにスタスタと歩いてた足を止めて、私は声のする方へ振り返った。
そこには、もう手に携帯を持ってなくて、ズボンに手を突っ込んでる葵が立っていた。
夜のせいか、金色の髪がとても綺麗に見えた。
ねぇ、『行くなよ』ってどういう意味?
打ち上げに行くなよってこと?
どこにも行くなよってこと?
その一言をどういう意味で葵が言ったのか分かんなくて、余計に色んな事を考えてしまう。
それでも葵は私を真っ直ぐ見ていて、その真っ直ぐな瞳が葵の真剣さを表していた。
「耐えらんねぇんだよ」
かすれるほど小さな声を出す葵。
表情は苦しそうで、寂しそうで、泣きそうで、私の胸をまた締め付けた。
「他の男と一緒にいんの見るとか耐えらんねぇんだよマジで」
「…」
「1日でも触れられねぇとか無理なんだよ」
「…っ」
「俺の一途な性格知ってんだろ?お前じゃなきゃ駄目なんだって」
…………涙が出た。
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