GOLD BOY〜不良彼氏〜



その声は久々に聞いた声で、その低く小さな声が私の胸をギュッと締め付けた。




「行くなよ、美鈴」




ゆずの後を追うようにスタスタと歩いてた足を止めて、私は声のする方へ振り返った。



そこには、もう手に携帯を持ってなくて、ズボンに手を突っ込んでる葵が立っていた。



夜のせいか、金色の髪がとても綺麗に見えた。



ねぇ、『行くなよ』ってどういう意味?

打ち上げに行くなよってこと?

どこにも行くなよってこと?



その一言をどういう意味で葵が言ったのか分かんなくて、余計に色んな事を考えてしまう。



それでも葵は私を真っ直ぐ見ていて、その真っ直ぐな瞳が葵の真剣さを表していた。




「耐えらんねぇんだよ」




かすれるほど小さな声を出す葵。



表情は苦しそうで、寂しそうで、泣きそうで、私の胸をまた締め付けた。




「他の男と一緒にいんの見るとか耐えらんねぇんだよマジで」


「…」


「1日でも触れられねぇとか無理なんだよ」


「…っ」


「俺の一途な性格知ってんだろ?お前じゃなきゃ駄目なんだって」




…………涙が出た。



.
< 195 / 459 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop