GOLD BOY〜不良彼氏〜
「俺、デビル入ってるんです」
沈黙を破ったのは、倒れて背中とお尻についた砂をはたきながら、ゆっくり起き上がった金髪男。
金髪男がデビルに入ってるって聞いても特に驚きはなく、むしろ心の中で『やっぱり』って思った。
「康介さんが憧れでデビル入って、いつか康介さんみたいな総長になりてぇなって思ってたとき、」
「………」
「康介さんに呼び出されて、次の総長に俺が選ばれたんです」
なぜか知らないけど金髪男は楽しそうに自分の話をし初めた。
そんな金髪男を葵は止める様子もなく、ただポケットに手を突っ込んで金髪男の話を聞いてた。
それはたぶん私と同じで葵も、今は聞かなきゃいけないって思ったからだと思う。
「選ばれて嬉しかった。やっと康介さんに認めてもらえたって、その時思ったんです」
「………」
「でも、違った」
「………」
「俺、見たんですよ」
金髪男は葵を真っ直ぐ見た。
その目が寂しそうに辛そうに見えたのは私だけだったのだろうか。
きっと金髪男は憧れの康介さんに認めてもらえたことに納得できてないんだって私は思った。
たぶん、葵もその寂しそうな辛そうな目を見て同じように感じたのだろう。
「お前、あの時いた金髪か」
"あの時"が"いつ"なのかは分かんないけど、
葵なりにこれ以上金髪男に寂しい顔をさせないように気を遣ったんだと思う。
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