ねぇ、私と付き合って。






夜。
私の横ですやすやと眠る薫。


「また、痩せたね――」

少しこけた頬を撫でると、薫の目から涙が溢れた。

「大丈夫。
私はここにいるよ。」


薫はきっと、あの時から分かっているのだろう。
自分の命がいつまでかを。


彼が私と付き合うと言わないのは、それでなのだろう。

でもだからこそ、私は決めた。


薫の涙に口づける。


それから、薫の名を彼の耳元で囁く。

彼のまつげが持ち上がり、あの時から決して輝きを失わない瞳が、こちらを向く。

薫、私昔シンデレラになりたかったんだ。
笑っちゃうでしょ。
こんな現実思考な女がさ。
でもね、今も高校の頃も、あなたが王子様とか、そうじゃないとかどうでもいいの。


「薫――私ね、あなたを愛してる。」


あなたの側にいたい。



「ねぇ、
私と付き合って。」





~fin~
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