最強甘々計画


「同じ会社の人」


「へー。俺、そろそろ仕事に戻るわ。それじゃあ、またな!」


 尾藤くんが私に手を振りながら、公園を出ていく。


「……高校の時の同級生です」


 尾藤くんが去った後、私は塩河さんに説明を加えた。


「そうなんだ。でも俺、ままれちゃんが他の男と楽しそうに話してると、なんかいい気しないな――」


 塩河さんが少し機嫌の悪そうな顔をして、告げてきた。


 これはいわゆる、ヤキモチに当たるの?


 どうして? どうして塩河さんみたいな素敵な人が、私なんかに?


 いいのかな? ロールケーキみたいな恋の渦に、この私が包まれても――。


「ごめんね、変なこと言って。そろそろ会社に戻るか」


 腕時計を一瞥した塩河さんが、ベンチから立ち上がろうとする。


「私も塩河さんが私以外の女性と仲良くしてたら、いい気しないですよ――」


 私は塩河さんが着ているシャツの袖を摘まみ、彼に眼差しを向けて言った。私が甘味に馴染みを持つとともに、二人の距離も縮まっていく気がした。
< 17 / 62 >

この作品をシェア

pagetop