最強甘々計画


 昼休みの時間に入ってから、私は荷物を持って、社員食堂の近くにある休憩スペースに向かう。事前の約束では、今日はその場所で、塩河さんとお昼を過ごすことになっているから。


「ままれちゃん、お疲れさま」


 丸いテーブルに五○○ミリリットルの牛乳と〈ボクオ〉を置いて、塩河さんは既にそこで待ってくれていた。


「雰囲気出すために、自宅から持ってきた」


 塩河さんは二つのタンブラーグラスも用意していた。コマーシャルでも、牛乳が注がれていたのはグラスコップであった。


「よし、お昼にしようか」


 二人同時で言う「いただきます」の合図で、私は持参したランチボックスを開ける。自作のたまごサンドの匂いが広がった。


「それ、自分で作ったの?」


「はい。簡単なんで」


 ここで手間のかかるカツサンドでも作ってたら、かっこよかったかな。


「料理ができる女の子っていいよね」


 塩河さんの昼食はコンビニの弁当であった。一人暮らしの独身男性の、食生活が垣間見る。


「ままれちゃん、良かったらままれちゃんのたまごサンドと俺の弁当のおかず、一つ交換しない?」


「あ、いいですね! じゃあ、唐揚げを貰えますか?」


「いいよ」


 塩河さんが私のランチボックスに鶏の唐揚げを置き、たまごサンドを一つ持っていった。


「ふふ」


 何だか学校行事の遠足みたいで、童心に返り、気持ちがほくほくとした。
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