それでもあなたと結婚したいです。
38 覚悟

ここはどこ?

暗くて何にも見えない。

じっとりと嫌な汗だけが身体中を覆っている。

大好きなお父さんの書斎の匂いに、今はなんだかとても不快な花の匂いが混ざっている。

気持ち悪い。

気持ち悪い。

時折、知らない女の声が訳の分からない事を独りで喋っている。

僕はそれに受け答えをすることもなく、ずっと、我慢していた。

縛られた部分が強く身体にめり込んで痛くてしょうがない。

お父さん…助けてっ!


お母さん…助けてっ!!


身体中を這い回る知らない女の手と唇。

僕の身体を汚していく………。

凄く嫌なのに、執拗に刺激されて僕の身体を無理矢理、目覚めさせる。


なんだこれ………?


怖いよっ!


止めてよっ!!


うああああっ!!!


僕がぐったりと身体を椅子に預ける様にもたれると、女は喜びの声を上げて笑った。

その後も、休むことなくその女は僕の身体を触っている。

僕はもう、どうでもよくなって、只々、女の要求を受け入れた。


早く終われ。


早く居なくなれ………。


早く自由になりたい………。


誰か…誰か助けて………。




"ち………さん…"




何か聞こえる?


"千春………………"


僕を呼んでる………お母さん?


"千……………さん"


誰………?


"千…春………さ…ん"


だれかが僕を助けに来た?

僕はこの声を知ってる?


"千春さん………"


僕はここだよ!

早く…僕を見つけて………!!



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