Am I What Colors?ー元姫の復讐ー

○小さな手《蓮央side》






とある日。



俺はスーツを着ながら同時に葵の支度もしてやっている。


今日は、俺が幼稚園に送っていくことにした。



「本当にいいの?蓮央。今日大事な会議があるんでしょ?」



心配そうに俺を見上げる咲誇。


その頬は赤くて目は潤んでいる。


額には冷えピタ。


38度超の熱があるからだ。



「そんな顔で外出歩いて無事に帰れるわけねぇだろ。今日は俺が送っていくから」


「そだよね……確かに途中で倒れそう」



いや、俺が言ったのは違う意味なんだけど。


そんな、酔っ払ったような顔で出歩いたら帰り道で変な奴に襲われるっつうの。


熱あるから反撃も無理だろうし。



「じゃあ蓮央……今日だけお願い。本当ごめん……」


「いいからお前は寝てろ。いくぞ、葵」


「うん!ママ、ちゃんとカゼなおしてね!」


「ありがとう、葵。行ってらっしゃい」



可愛らしく微笑んだ咲誇を目に焼き付けて、マンションを出た。


< 434 / 469 >

この作品をシェア

pagetop