ピンクの箱
前編

高校一年生~春~


委員会の帰り、咲き誇る桜道の中
私はいつも自販機で
いちごミルクを買って飲む。

凄く、好きだから。

校舎裏の自販機には色々な会社から出ているいちごミルクが売ってある。
私の穴場スポット。

そして今日も...

小銭を入れて、青いボタンを押すと、ガコンッて音がして厚紙で出来た箱型のいちごミルクが出てくる。

あぁ、なんて幸せ....♡

ストローをさして、一口飲んだ瞬間、

「佐伯さんって
いつもいちごミルク飲んでるね」

後ろから聞き覚えのある声がして
振り返ると、

「あ、大野くん」

クラスは違うけど委員会が一緒で何回か話したことのある無表情だけど、
どこか優しげな人。

「好きなの? いちごミルク。」

「うん、好きなの(*๓´˘`๓)」

「そっか。」
大野くんはそう呟いて、私に背を向けた。
< 1 / 5 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop