Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜



「あ…っ あの…っ!!!」



後ろでバタンと閉まる扉
一気に出てくる冷たい汗 ―――



"夏休み、バイト したいんです!"
"高校生でも、大丈夫ですか?!"


多分、言った気がする


でも もしかしたら
頭の中で、叫んでただけかもしれない


だって
足はガタガタ震えて


差す指は外


それで、目は
お爺さんの顔と、表を
交互にグルグル見てるだけ




… へんだよ これ


顔、カァッてなって行くのがわかって
慌てて外に 走り出そうとした




「アルバイト ですか?」




椅子の ギシッときしむ 音がして
わたしは 思いきり
お爺さんの方に振り返る




「七月が、お誕生日なんですね

午後からお願いしたいのですが
時間は、大丈夫かな?」




わたしは思いきり、唇を噛んで
お爺さんに向かって、頷いた ―――…





< 108 / 382 >

この作品をシェア

pagetop