Crystal Sky 〜お姫様は、魔法使いに恋をする。〜



いつの間にか、駄菓子屋さんの奥
畳の居間で、ちゃぶ台と座布団


なびいてるリボンは古いのに
リモコンの無い ピカピカの扇風機


オデコに置かれてるタオルが
魔法使いの手で、裏返された…




――… ご飯は


お昼を朝に食べる事が
最近は、多かったから…
本当の朝ごはん、少なめにしてて


… 夜までが、長かったんだけど
変に食べると あやしまれるかと思って
あんまり 食べてなかった…




「てんげ かし」


おばあちゃんが、一度戻って来て
あぐらかいてた魔法使いが
くるっとそっちを振り返る


でも、なんか少し 戸惑ってる感じ




「… あ、そか」


わたしは自分のオデコから
タオルを取った




「"てんげ"
…手ぬぐい、の こと…」


「―― おう!覚えた!サンキュー」





十二時


島中に響き渡る、チャイムの音


お、って顔で、魔法使いは
その柔らかい 鐘みたいな音を
目をつむりながら、聞いてる




お昼ごはんは
赤かぶの、甘いお漬物と
今朝、市場から届いた 焼き魚




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