罪人と被害者

ちょっとテンポよく会話してる場合じゃない。

この人は正気じゃない


なにを考えてるんだ。


事務所に入れるとか独断で決めてるから、たぶん結構な地位を築いてる人なんだろう。

…じゃなくって!


「意味わかんないよっ!どうして赤の他人にそこまでやろうとすんのさ!このお節介焼き!!」



そう叫べば、ピクンと反応する。


「……お節介、なのか?」



キョトンとした顔でそう聞いてきたのだ。

どことなく寂しそうな顔で、例えるなら犬一一


…なぜかきゅんとした。なんだこのかわいいおっさん。

元から渋い顔してるから、ギャップ萌えってやつ?



「え?あ…ああー…」


いきなりの反応にどうしたら良いのかわかんなくって、曖昧に目をそらしながら答えてしまった。


「そうか…お節介、なのか…」



うーん、とバカ正直に僕の発言を受け止めるおじさん。


「…ではお前はなにを望むんだ?」


「はあ?」


「俺にできる範囲なら叶えてやろう」


さっきとあまり変わってない気がする…。


「だからなんでそんなに僕のこと…!!」

「助けたいと思っただけだ」



ぴしゃりとそう言われた。


低い声で、当たり前というように。



…ああ、この人は不器用なんだ。

自分で助けたいと思っても、最適な対処法が浮かばなくって空回りするタイプだ。


「お前の身の上に同情した。

助けたいと思った。

俺の手ですくってやりたいと思った」


「他人…じゃないか…」



嫌だこの人。

嬉しくなんかない。
嬉しくなんかない。


嬉しくなんかないってのに一一



「だからなんだ?
他人他人言うが、家族の問題を家族が解決してくれるのか?


結局は他人だ」



「屁理屈ジジイ…」




なんでこんなに、胸が暖かいんだ。




ふわふわして、記憶薄いけどお母さんに会えたみたいな。



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