あの日の桜はⅡ【大幅修正中】

「・・・ねぇ、莉子がさ、ここで寝る前になんかあったわけ?」

 とりあえず、自分の部屋で休もうと思い、ソファから立ち上がろうとしていた時、千景が訝しげな目で莉子ちゃんをみた。

「あぁ、雨でびしょびしょになってシャワー浴びたね。俺もだけど」

 自分で言うのも嫌なくらい莉子ちゃんに対して罪悪感を感じる。

 常識的に考えて雨の中走るなんて言う選択肢はおかしいのだ。
 
 あの時の自分の選択に後悔しながらそれがどうしたの、と千景に尋ねた。
 
 すると、千景ははぁ、と息をはき、莉子ちゃんの前髪をあげた。

 その行動の意図を指摘する間もなく、千景は自分の額と莉子ちゃんの額を合わせた。

 その行動にも莉子ちゃんはなんの意も示すことなく眠っている。
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