この思い秘密です
「うまいなこれ」

「そうでしょ。上野さんの畑で採れた野菜を頂いて、煮物にしてみたんだ」

上野さんはこのスタジオから5キロほど離れたところに住んでいる

50代後半の女性だった。坂下さんとは古くからの知り合いだそうで農家の傍ら

スタジオの管理をしてくれているのだ。

とても明るくて気さく方ですぐに仲良くなった。

私が上野さんと仲良くなったことを話すと淳平は少しほっとしたように微笑んだ。

なんで笑顔になったのかわからずにいると

「ここに来て俺はずーっと今日みたいにこもりっきりだろ?お前の事だ、その間自分は何も
 できないって自分を責めてんじゃないのかなって思ってたんだよ。
だけどいい話相手ができたみたいでほっとしたんだよ」

な・・なに恋人みたいなこと言ってんの?

ドキドキするじゃない。

ってか人の心配しないでいいのに!

自分の方がめちゃくちゃ大変なのに・・

私なんか何もできないのに・・・

余計に自分の頼り無さを痛感してしまった。
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