虹色のラブレター
* 1 *


彼女と初めて出会ったのは喫茶店だった。

高校を卒業してから、地元では割と大手のホームセンターに就職した僕は、そのすぐ隣のボーリング場の中にある喫茶店でよく同僚の人達と昼休みの時間を過ごしていた。

彼女がその喫茶店でアルバイトを始めたのは7月の半ばくらいだった。

慣れない手つきで、トレーに幾つものグラスを乗せて運ぶその姿は、危なっかしくも見えたが、その時の彼女の目は真剣で”絶対に落とさない”という自信があるように思えた。

少し茶色く染めた、肩くらいまでのショートヘア。

小さくて華奢な身体に首から掛けられたエプロンがかなり大きく見えた。


僕がそんな彼女から目を逸らし、いつも座るテーブルに腰を降ろした瞬間、グラスの割れる音が店中に響いた。


「あ~あ、やっちゃった……」


そう言いながら、僕が座ったテーブルの前に同期入社の”貴久(たかひさ)”が座ってきた。

僕と貴久はこの年のたった二人の新入社員だった。

気が合う合わないは別として、お互いただ一人の同期入社なのだから仲良くするのは当たり前。

だからお昼休憩の時間は二人でよく一緒にこの喫茶店に来ていた。








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