虹色のラブレター


「そういえばお前、夏期休暇いつからだったっけ?」


貴久はグラスにガムシロップとミルクを入れ、それをストローで混ぜながら「もうさっきの話はやめよう」というように話題を変えてきた。


僕も同じように手を動かしながら答えた。


『ああ……僕はあさってから。なんだかわかんないけど、若い奴は真夏に取れって言われたよ』


「何それ?なんか関係あんの?」


『さぁ?お前は?』


「俺は盆明け……別に予定もないからいつでもいいんだけどな。お前は?…なんか予定あんの?」


『ううん、別に……。でも一週間も休みあるんだからどっか旅行でも行きたい気分だけどな』




就職して初めての夏期休暇……それは8月の初めの頃だった。

特に予定はなかった。

でも、僕はうかれていた。

週休二日はきちんともらっていたが、今まで連休など一度もなかったからだ。

毎日、朝から晩まで働いていたこの生活から一週間でも抜け出せる……そう思うとうかれずにはいられなかった。





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