一生片想い


仕方ないので私は今日はこれで切り上げようと提案すると待ってましたとばかりに飛び付いた國嶋と、早々に喫茶店に戻った。

戻ったのは良いものの、相変わらずガラガラの店内には相沢さんが客席に突っ伏して寝ていたのであった。


「あの野郎…呑気に寝やがって…」

國嶋はそれを見付けるとチラシを丸めて相沢さんに向かっていく。

その先が予想できたので私は二人分のお茶を用意すべくカウンターに入った。


氷をコップにいれた頃、いったー!と叫ぶ相沢さんの声が聞こえた。


「…おはようございます」

お茶を入れ終えたので顔を出すと、相沢さんと目が合ってしまったので取り敢えず挨拶をした。

頭をさすさすと擦っていた。

「おはようじゃないよ~七菜ちゃん…。この暴君を止めてよ」

「誰が暴君だ誰が。俺たちが暑いなか苦労してんのにこの快適な空間でぐーすか寝やがって!」


もう一度叩こうとしたが流石にそれは相沢さんに止められた。

「えー?それは決めたことでしょ?まあ寝てたのは悪かったけどね♪」


ウフ♪と笑った相沢さんはきっと悪気の欠片もないのだろう。

呆れたように溜め息をついた國嶋は私が持ってきたお茶をイッキ飲みするとカウンターにドカッと腰を落ちした。

「…というか、チラシちゃんと配り終えてないじゃん」


私たちの手元にある殆ど配ってないチラシをみると相沢さんは言った。

「仕方ねぇだろ。暑くて暑くて死にそうになったんだからら」

「我満しなよーそれくらい」

「お前なぁ…おい、七菜もなんか言ってやれ」


急に話を振られた私は二人の視線を集めていた。



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