強引上司の溺愛トラップ
しばらく早太くんとそんな立ち話をしていると、居間からもうひとり出てくる。


「よー! 帰ったか妹よ!」

五歳年上の次男、神(じん)くんだ。


「ただいま。そうか、神くんも今日お店がお休みの日か」

「おう。お盆休みはないから明日は仕事だけどな」

神くんは美容師で、独身だからこの家で一緒に暮らしてる。


神くんは昔から底抜けに明るくて、明るい性格という点では早太くんと似ている。二人は仲も良い。

ただ、明るくて真面目なスポーツマンの早太くんとは違い、神くんは明るいけどちょっとチャラくて、運動は苦手なタイプだ。


「今日は非常に有意義な休日を過ごした。居間のテレビで映画のレンタルDVDを三本も観てしまった」

ははは、と高らかに笑う神くんに、それはそこまで有意義な行動か? とも思ったけど、私も休日は似たような過ごし方なので、否定するようなことは言えなかった。
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