強引上司の溺愛トラップ

失恋の傷がまだ全く癒えてないのですが。

仕事が終わり、いつもならまっすぐ家に帰るところだけど、何となくそんな気になれず、誰もいない屋上で、ボーッと景色を眺めてた。


夕焼けキレイ……。



今日一日、何とか平常心を保っていたけど、それでもやっぱり心が痛くて……。


私、自分で思っていた以上に一島くんに恋してたんだ。


本当に、理想の恋だった……。



すると、後ろから屋上の戸がガチャリと開く音が聞こえた。


人のことは言えないけど、こんな時間に誰だろう。
泣いてなくて良かった。私は振り返って、屋上に入ってきた人物を確認する。



「え、課長……?」

「おう」

そこにいたのは、桜課長だった。

課長が、屋上なんかに何の用だろう。あ、煙草? でも、いつも喫煙所で吸ってるらしいし……。



課長は、何も言わずに私の隣に立った。


「…」

「…」


だけど会話はなく、沈黙が流れる。


私に何か用事があってここに来た訳じゃないってことかな。




「……あの、じゃあ私、お先に失礼しますね」

沈黙に耐え切れず、私が頭を下げると。



「待てよ」

課長は私を引き止める。


うぅ。早く家に帰って泣きたいんだけどなぁ。神くんに慰めてもらいたい。
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