強引上司の溺愛トラップ

あなたの本音を、初めて聞けました。

部屋に入ると、玄関のすぐ横に電気のスイッチがあるのが分かった。

真っ暗な部屋の中が一気に明るくなり、何となくちょっとホッとした。


「課長、吐きそうですか?」

「いや、横になれば大丈夫そう……」

「分かりました。寝室行きますか?」

「リビングのソファでいい……」

「リビングですね」

寝室じゃなくてリビング、という言葉にもどこか安心してしまった。こんな風に思うのは課長に対して失礼かもしれないけど……。



「飲めますか?」

ダイニングからお借りしたコップに水を入れ、ソファに仰向けに寝転ぶ課長に手渡す。


課長はゆっくりと上半身を起こし、コップを受け取り、水を口に含む。

顔色もそんなに悪くないし、割と大丈夫かな。



「……はあ」

水を一気に飲み干すと、課長は溜め息を吐いた。

そして。

「……カッコ悪い」
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