強引上司の溺愛トラップ
「いやー、今日は忙しいですね! 俺、こんな時間に飯食うの初めてですよー!」

一島くんはニコニコと笑いながら課長のとなりに座る。

確かに今日は忙しい。
だけど一島くんは、まだ一年目の社員なのに、どんなに忙しくて余裕がなくても常にニコニコと働いていて偉いなって思う。


そんなことを考えながら一島くんを見つめていると。


「……お前さ、最近彼女とどうなの?」

と、突然課長が一島くんに尋ねた。


ちょ、なんだ突然?



「えー何ですかいきなり? 課長がそんなこと聞いてくるなんて」

「いいから。ラブラブな訳?」

「んー? 実は俺、中学生の時から今の彼女と付き合ってるんですよ。だから、仲はいいけどラブラブな時期はなくなっちゃったかなーなんて」


あーなるほど、と課長は頷く。何をそんな真顔で頷いているんだ。部下の恋愛事情を参考にしないでください。


でも、そうか。中学生の時からなんだ。長いなぁ。凄いなぁ。



「そういえば課長って彼女いるんですか?」

一島くんが相変わらずニコニコと笑いながらそう聞くと課長は。


「ん、ああ、超ラブラブ」


ちょ、私のこと?ラブラブじゃないし!



「そうなんですかー! 渡辺さんは?」

「え?」

「彼氏いるんですか?」

「い、いないよっ」


何だか課長に睨まれた……気がするけど、別にいいよね。ほんとのことだもん。
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