イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《16》伝えたい言葉

菜穂side~

明け方、悠真さんと倭人さんが戻って来た。

「結愛さんは?」

「ん、あ・・・まだ、寝てますよ。気分が悪いと言うか・・・」

悠真さんに返したが、視線は隣に居る倭人さんの反応を伺っていた。

「二日酔いか?」

倭人さんは全く心配する気配はなく、他人の私の方が苛立った。

「菜穂、俺達は急いでる。急いで朝食の支度を頼む」

「はい」

私は倭人さんの恨めしそうに見つめながらキッチンに引っ込み、朝食の支度をする。

妊娠って男性側にも責任があると思うのに、結愛さんは一人で抱え込み、私に口止めを頼んだ。

一人で産んで、赤ちゃん育てるのだろうか。結愛さんが不憫で仕方がない。



「どうぞ」

ダイニングテーブルで朝食を待つ二人に淹れたてのコーヒーを運んだ。


「あの・・・」

仕事の話を真剣にしている二人の間に入れない。


「なんだ?菜穂」

悠真さんが不意に話を中断し、私に目を向けた。


「悠真さんじゃなくて・・・倭人さんに話があると言うか」

「いつから、名前呼び捨ててる?菜穂」

「え、あ・・・」

二人の正体を知ってしまい、つい呼び名も変わってしまった。


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