イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《23》絶体絶命

悠真side~

突然訪ねて来た香港の私服警官が紅蘭の正体を教えてくれた。

『王龍社』は中国マフィアと蜜月関係にある噂は事実で、彼女はマフィアの幹部の一人だった。

菜穂達が監禁されている場所は油麻地。
女人街や男人街、小さな店が犇めき、夕方18時から深夜1時まで賑わう廟街のナイトマーケットが有名だ。

マフィア経営の歓楽街も多く、香港初心者にはオススメできない治安の悪い場所。

俺は来亜を引き連れて警官と共に夜の油麻地に足を踏み入れる。


香港出張に来ても、現地のガイドから話を訊くと決して自分から行きたい場所だとは思わない。

この街の何処かに菜穂と倭人が・・・


「倭人さんは負傷しているし、早く助けないと」

「ああ」

総理秘書官が撃ったんだ。


仮に倭人が死んだら、日本のマスコミは大騒ぎにするだろう。


倭人を容易に連れて来た俺が悪い。


香港は場所が違うだけで、いろんな世界が見えて来る。
まるで万華鏡のよう。


危険な街なんだと唇を噛み締めた。
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