イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《3》住居は52階

菜穂side~

「着いたぞ」

「へっ?」

私はいつの間には社長の肩を借りて眠っていた。


「ここは何処ですか?」

「どこって・・・俺の部屋があるビルだ」

「へぇー」

「ともかくカラダを起こせっ。重い」


「す、すいません」

私は慌てて彼に預けていた頭を起こした。


社長と私が車から降りるとすぐそばには管理室あった。


「お帰りなさいませ。悠真様」


「只今。田中さん」


管理室で働く愛想が良く、温厚な性格が滲み出ている田中さんも『ヘンリーズコーヒー』の常連客。


「君は確か・・・芦沢さん」

「私の名前憶えていてくれたんですね。田中さん」


「おいおい、お前、田中さんと顔見知りか?」

「田中さんも『ヘンリーズコーヒー』の常連さんですから」

「知ってたか?吹雪」

「いいえ」


「悠真様、どうぞ」

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