イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
《26》背徳的なプロポーズ

悠真side~

入院して1ヵ月。

俺はようやく退院し、ホテルの部屋に戻った。

「明日、念願だった日本に帰れますね」

「ああ」

窓越しに見えるのは、100万ドルの夜景と謳われる香港の街。


俺達は身をもって知った・・・

香港は光と闇が混在した危険な街だと。


「何度見ても…綺麗ですね」


「ああ」

菜穂は溜息交じりに呟く。

硝子に映る菜穂の瞳は翳り、涙が零れそうだった。

俺と二人で香港の夜景を眺める。

その最後の願いが叶い、感動して涙が溢れているんだろう。


俺は別の意味で涙が溢れそうになる。


彼女と共に歩む人生は背徳的なコトなんじゃないかと思うと、プロポーズを躊躇ってしまう。





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