イノセントラヴ～不実な社長と契約結婚～

「でも、施設長は余りにも羽振りの良い兄のコトを心配していました。何か危ない仕事に就いているんじゃないかって」


昨日の悠真さんの説明では兄が会社の機密を盗み出しと言っていたし。

「兄は悪いコトをしてお金を儲けていたんでしょうか？」


「かもしれないね」

吹雪さんに同調され、私の不安の塊が大きくなった。

「俺達も必死に芦沢さんのコトが捜してる。その内、菜穂様を頼って現れるかもしれない」

「その時は兄を説得して、悠真さんの会社から盗み出した機密を全部お返しします」

「ありがとう。そうしてくれると悠真様も喜ぶと思う」

「人の秘密を手に入れて金儲けなんて、妹しては許せません。兄にはちゃんとした普通の仕事に就くよう私が教育します」


｢何だか急に親身なってくれて嬉しいけど。どう言う心境の変化ですか？菜穂様
もしかして、最初から菜穂様も悠真様のコトを・・・」


「え、あ・・・」


「俺は菜穂様の味方だから。二人を応援する。だから、人を愛するコトはいいコトだって教えてあげて。凍りついた悠真様の心を温めてあげてよ」


「吹雪…さん！？」


「俺と兄貴は悠真様の幼なじみ。
悠真様の苦しみも寂しさも皆、見て来た。
ずっと、悠真様は孤独だったんだ」