イノセントラヴ~不実な社長と契約結婚~
「何だ?」

悠真さんは素っ気ない態度で部屋を招き入れる。


彼はスーツを脱ぎ、黒のジャージ姿の寛いだスタイルだった。

「今朝と同じパンツ姿の方が良かったか?」

「いえ」

不機嫌だった表情も少し和らいでいたので、安心した。


「俺に何の用だ?夜這いか?」

「違います。急に不機嫌になって部屋に行ってしまったから…気になって」


「今もイライラしてる」

悠真さんは両手を掴んで、私の背中をドアに押し付けた。


「お前…『ヘンリーズ』の看板娘なんだって?」


「看板娘だなんて滅相も有りません」

私よりも美人で可愛いアルバイトは沢山居る。私は生活の為に皆よりもシフトの日数や時間が長いだけで。


「 『ヘンリーズコーヒー』は俺がクビにした。お前は俺の3億の借金をしている」

悠真さんの声音に怯え、全身が固く硬直していく。

彼の鋭い視線を遮るように顔を横向かせて、必死に耐える。

「俺が怖いか?」

「…止めて下さい」私は小さな声で懇願した。






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