水曜日の片想い


ゴールのない迷路に迷い込んだみたいに、ずっとふらふら彷徨ってなにが正しいのかさえわからなくなっていた。


自分の気持ちもわからないまま、その場しのぎの答えを紡いで傷つくことを恐れていたあの頃。


橘くんと両想いになれるよう頑張っていたけど、まさか本当に好きになってくれるとは正直思っていなかった。


何もない自分じゃ王子様とはつり合わない。

そんなことを思っている人はこの広い世界でどれほどいるだろう。


でも、それは勝手な自分の思い込みにすぎなかった。


どこかの物語に出てくる主人公みたいに。魔法ひとつで綺麗になることはできないけど、努力に置き換えることは可能なんだよ。


わたしがこの身をもって体験したんだから。



「わたしも……橘くんが大好き………」



ようやく、君に届いた。


< 271 / 291 >

この作品をシェア

pagetop