水曜日の片想い

気づいてくれた王子様



近頃は本当に夏なの?と疑うくらい涼しい。


太陽の光も暖かいくらいで、過ごしやすい日が続いている。


まるで春に戻ったような気分。

ぼんやりしてるだけで無性に眠くなる日が多くなってきた。





橘くんと初めて一緒に帰ったあの日から、少しずつ距離が縮まったきがする。


例えば廊下ですれ違ったとき、

今まではわたしに気づきもしなかったのに最近はよく目が合う。



「おはよう」って言うと「おはよ」って小さな声でちゃんと返事を返してくれるの。


思わず叫びたくなるくらい最高に幸せだ。

こんなに幸せ者でいいのかな?



それに、今日は待ちに待った水曜日。



本を読む橘くんの邪魔はあまりできないけど、またいろいろ話せたらいいなぁ。





「あれれ〜、日菜子ったらさっきからにやにやしちゃってさ。何かいいことでもあった?」



「へ!?そっ、そんな顔してないよぉ」



橘くんのことを考えるだけで勝手に顔が緩んでしまうこの現象。


前の席に座る友達の華純(カスミ)が、こちらに体を向けただけですぐにバレてしまった。


なんで橘くんのこと考えるたび緩んじゃうのかなぁ?

橘くんの前ではこんな情けない顔したくないから、ちょっと顔に気合い入れておこう。


< 69 / 291 >

この作品をシェア

pagetop