それでもずっと愛してる
変わらない距離
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「はぁぁ~」
私は大きくため息をついた。
「結衣ちゃん、さっきからため息ばっかりついてるよ」
葵さんが、あきれ顔で言った。
「さあ、もう一度」
私は、ふぅ~と小さく息を吐き
ピアノの鍵盤に指をおいた。
私は小学生の頃から、週一回、自宅でピアノのレッスンを受けていて。
中学3年生の受験の学年であったが、息抜きのためと両親が続けさせてくれていた。
大好きな葵さんと会えるのも、私にとって、楽しみのひとつ。
葵さんは、私のピアノの先生。
近くの音大生だった葵さんには
3年前からピアノを教えてもらっている。
「…ちょっと、ストップ」
葵さんは、私のピアノを止めた。
「結衣ちゃん、心の乱れってピアノに現れるんだよ」