貴女へ

俺は…


…フロリナの記憶が戻った。それは望んでいないことだった。
フロリナの記憶が戻る前に彼女を殺す計画だったはずだ。
「…なんて書いてあったんですか?」
「それは言えない…ただ、全てが動き出しただけだ。」
「もしかして…殺された?」
地下牢が一気にザワめく。
「全ては事が明かになったときに確かめろ。本当に殺したのか、自分たちは何を求めていたのか。」
しんと静まった。…所詮この程度の人間の集まりなんだ、此処は。フロリナ。お前のことを嫌いになったわけじゃない。むしろ尊敬する。国を動かす力を持っていながら自分より他人を大切に出来るその姿。一人でいつも戦っているお前は、一番強い。きっと魔力が強いんじゃなくて、心が強いんだ。反逆者の中にも、お前の味方はきっといる。…いや、絶対居るんだ。

それから、ありがとう。

フロリナであると、認めてくれてありがとう。
『玲実』と書いて、消して、フロリナって書き直した痕。

フロリナ、ありがとう




………玲実、ありがとう。
< 46 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop