婚約者はホスト!?③~夫婦の絆~
圭司は雑木林を少し入ったところで足を止め 周りに人がいないのを確認すると、私の顔を見つめた。
「なつ 杉本から聞いたよ。中西の車できたんだって?」
「うん 手ぶらのまま無理やり連れて来られた。マンションの鍵も取られたまま…。」
「あいつ 余計なこと…。」
圭司がぼそっと呟いた。
「それで あの人に何言われてた?」
圭司は私の肩をガシッと掴んだ。
「教えてくれたんだよ…。」
「何を…?」
私の言葉に圭司は明らかに動揺している。
「ねえ 圭司 どうして 今日のバーベキューに私を来させたくなかったの? 杉本さんに会ったけど、本の事も私の事も少しも気にしてなかったよ。もっと他に理由があったんじゃないの?」
「それは…。」
圭司が言葉につまった。
「それに どうして春君と会ったこと私に黙ってたの?」
「……。」
圭司は、気まずそうに目を逸らした。
「やっぱり 春君の言ってた通りなんだね。圭司 杉本さんとキスしてるとこ春君に見られたんでしょ!? だから 春君と私がバーベキューで会ったらマズいと思ったんだよね… そうなんでしょ?」
「…それ あの人に言われたの?」
圭司は、真剣な顔で私に言った。
「うん 私だって信じたくないけど、それだと全部つじつまが合うんだよ…。杉本さんが社内で酷いイジメにあってることも、中西さんがしつこく私に忠告してくることも…。」
私の目からは、涙がポタポタと落ちていく。
次第に圭司の顔がぼやけていった。