ハロウィン・パーティー!?~ゾンバス番外編~
 空けてしまったグラスを睨みつける。

「あ、それ赤ワインだよ~こういうときぐらい、ちょっぴりアルコールもいいかなぁって。ね?」

「あ、あんたっ…一気飲みしちゃったよ!」

「ジャンヌの明美ちゃんが酔ったところ見たい~セクシーに迫られたらきゃー! ひとみ困っちゃう! きっと素敵よっうふっ」

「うふっじゃない! すっ素敵とかそんな問題じゃないでしょ!」

 可愛く小首を傾げるひとみに怒鳴っているそばから、胃の辺りがかーっと熱くなってきた。  
 ひとみと明美のやり取りに天然って怖いと、あらためてひとみの強さを思い知った聖と和巳だった。

「ではでは~このままの勢いでひとみちゃん特性のパンプキンパイ探してきてね! 制限時間は15分。それ以上経ったらみんなで探しにいくから、出来ればそれまでに探して見つけてきて! 3階もちゃんと電気つけてあるからラクに探せると思うよ~じゃ、いってらっしゃい!」

 胸元で小さく手を振り笑顔で見送るひとみ。

「頑張れよ!」

 ピースサインを寄こす聖。

「足元、気をつけろ」

 酔った明美を気遣っているのか、和己が足元を指す。
 3人に背中を押されるように、家庭科室から追い出されてしまった。
 しばしその場に立ち尽くしたまま、みぞおちを押さえる。胃が熱い。その熱さがじわじわ体全体に広がっていくようだ。
 ええと、パンプキンパイ、だっけ?
 探さなきゃな。

「……ふぅ。行くか」

 あきらめたように歩き出す。
 生活の拠点にしている家庭科室を出てすぐ脇の階段を上り始める。
 あ。
 頭がぼーっとする。
 やっぱりさっき飲んだワインが効いてるんだよ……。
 自分の足で歩いてるのかよくわからない、フワフワとした感覚に襲われる。
< 6 / 22 >

この作品をシェア

pagetop