終わらない恋
私は相手の腹を蹴った。
でも、あまり怯まない。
相手も殴りかかってくる。
髪の毛を掴まれて引っ張られる。痛い。
床に投げ飛ばされて、みんなの方に飛んでいく。
悲鳴が飛び交うその中からガラスのコップが飛んでくる。

「いってぇ」

頭を腕で庇ったから、腕を怪我してしまった。
血が流れる。
なんだか、体が自由に動かない。
恐怖なのか、それとも…。








「唯、唯っ!!」

名前を呼ばれて起きてみると足が痛い。
足には包帯が巻かれていて、なにか怪我をしたことを物語っている。
そして、消毒の匂いと白い壁。
きっとここは病院。

「なんでいるの?」

「俺の友達、ちょうど居合わせたらしい。それで連絡きたんだ。お前、あの金髪1人でボコボコにしたのか?」

「え?ボコボコ?私がされたの間違いじゃなくて?」

魁斗が驚いた顔をするが、すぐに微笑んだ。

「生きててよかった。助けに行けなくてごめん。花宮唯さん。」

私は目を見開いた。
私は名乗ったことがない。
花宮なんて、言ってないのに。

「なんで…知ってるの?」

「幼馴染だよ。っていっても5歳も離れてるけど。それに、唯、モデルでしょ?」

私の中で走馬灯のようなものが見えた気がした。
魁斗、私はその名前を呼んだ時何か懐かしい感じがした。
手をつないだときのあの感じ。
私、知ってる。
< 13 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop