終わらない恋
私は、涙が枯れるまで泣いた。
でも、スッキリした。

「私がね、家出したのはモデルの仕事止めされるって言われたから。でも、こんなんじゃもう、無理だね」

私は笑った。
包帯の巻かれた足を見てため息をついた。


「本当は続けたいんだろ?」

言葉が胸に突き刺さった。
うん、と頷いた。

「じゃあ、事情聴取が終わったら病院抜け出すぞ」

「え?」

「いいから早く」

手を引かれ、でも、私を気遣いながら病院のエレベータに乗る。
病室まで行くと、すでに警察の方が来ていた。

「君が花宮唯さんだね?」

「はい」

「怪我は大丈夫ですか?犯人は捕まったので安心してください。早速ですが、飲食店での事についてと、荒川水澄さんとの関係について教えてください。」

男の警察に見えないような人が警察手帳を見せて、質問してくる。
目が、真剣で、何もかも見透かされそうな感じ。

「私が、1人でオムライスを食べているところに彼女が来て、私かどうかを確認して殴ってきました。机を蹴り飛ばしたり、私に暴力振るったり。魁斗の彼女っていってたから、きっと魁斗が好きなんだと思います。後、荒川水澄さん?のことは分かりません。初対面でした。私の名前を知っていたのは、私がモデルだからだと思います。私も、あの人が安曇さんを殺したって直感で思って蹴ってしまいました。ごめんなさい」

私が素直に話すと、警察はなんども頷いた。

「話してくれてありがとう。君のはそんなに悪くないよ。荒川になんの怪我もさせてないし、自己防衛だね。それじゃあ、今日はありがとう。お大事にね」

そう言って警察は帰っていった。
おっさん臭が、加齢臭が…。

側で、話を聞いていた魁斗は深刻そうな顔をしていた。
名前を呼んでみると、我に返った顔で

「さあ、行こう」

と、手を引かれた。
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