【短集】Color
【BLACK】


大雨だ。

今日は酷い。






私は静かに歩いていた。


すると見つけた。
道路に立つ人。


雨に濡れている。
傘もささずに。




"どうしたの?"




その人は私を見つめて、切なそうな表情を浮かべる。

眉間に皺がより、苦しそう。





…力になりたい。


けど、無理だ。






ただ、その人に寄り添うだけ。



『…あはは……』


何故笑う?

苦しそうにしているのに。





雨が、毛を濡らす。

こんな大雨は、いつぶりだろうか。





天気は、人の気持ちを表す事が出来るのだろうか。





その人の頬に、雨ではない水滴が伝わる。





…人間の言葉は、とても難しい。

何て言うんだ?





人間は悲しい時、その水滴を目から流すらしい。




私がその悲しみ、拭ってあげたい。



もっともっと悲しみを流して良いから…






どれだけ悲しみを流しても、気付かれないから。







雨に混じりゆくから。







【BLACK】




雨が止んだら、晴れるから。






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