【短集】Color
【パレット】


馬鹿だよね。
私みたいな人。





「朝……?」




いつの間にか寝てたみたいだ。

朝日が差し込む部屋のベッドに横たわっていた。



外を眺める。






綺麗な晴れ。


真っ青な空が、
眩しい光が、

まるで昨日の事が無かったかのように、あたしの目の前に広がっていた。





「……。」


窓ガラスに映る自分。




涙の後が残っていて、赤く腫れている目。






………でも




あたしは空に浮かぶ虹を見た。



あたしは虹が好き。

雨の後のおまけみたい。






あたしは微笑んだ。



……もう涙は出なかった。






あの虹、今まで見た中で一番綺麗だ。


あの綺麗な虹を、あたしは目に焼き付けた。





雨の後は、晴れる。

虹までもが出る。



今悲しくても、必ず光がある。






だから今、あたしはこうして笑ってるんだ。




七色の光を、あたしの頭の中のパレットに。


絵は苦手だけど、書いてみようかな。




あたしはそっと窓から離れた。





……もう大丈夫。




悲しくても、大丈夫。





よし、画用紙に書いてみよう。

あたしの好きな虹を。








【パレット】




あの黒猫も書いてあげよう。





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