幸せの定義──君と僕の宝物──
ユウとレナは、微笑みながらもうすぐ生まれてくる二人の子供に想いを巡らせた。

人を思いやれる優しい子になって欲しい。

自分のやりたい事、一生懸命になれる事を見つけて欲しい。

そして何よりもまず、元気に生まれてきて欲しい。

ユウは、生まれて間もない頃に実の親に置き去りにされて、結婚する事や子供を持つ事に不安を感じていた自分が、レナと結婚して我が子に会える日を心待ちにしていると言う事を不思議に思った。

不思議ではあるが、子供の頃からずっと好きだったレナがそばにいて、新しい家族の誕生を待つ事は、間違いなく幸せだ。

(子供が生まれたら、もっと幸せだって思うのかな…。)

子供が生まれたら、きっとレナと二人で初めての育児に戸惑ったり迷ったり、試行錯誤しながら右往左往するのだろう。

レナとの二人きりの生活ももちろん幸せだが、二人で子供を大切に育てて行く暮らしは、きっと何事にも替えがたい貴重な時間に違いない。

目一杯の愛情を心置きなく注げるように、子供が生まれてくるまでの残りわずかなレナとの二人きりの時間をこれまで以上に大切にしようとユウは思った。





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