きみの涙に、名前を。
桜雨

ーーー高校二年の春。

「ずっと朝日奈さんが好きだったんだ」

たった今、朝日奈結衣は同級生の学校のアイドル的存在である、橋本蓮に告白された。

「えっと…」

「去年の春、入学式のときに桜を見てた姿が印象的だった。一年間ずっと見ていたんだ。」

橋本の熱い瞳が、まっすぐ結衣を見つめている。




結衣は橋本のことを入学直後から知っていた。それほど有名で目立っていたからである。

そして彼の周りには常に誰かしらがいてよく告白されているのを見たことがあった。その度に「好きな人がいる」と言って断っていたことは有名な話だ。





< 1 / 29 >

この作品をシェア

pagetop