腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
私が車に乗り込むと、車内は暖かくなっている。
「随分待たせましたか?」と聞くと、ツカサさんは笑って、
「今日も何か失敗して、遅くなったのかな?」と聞いてくる。
「そうじゃありません。人がいなくなってから着替えたから
時間がかかったんです。」と不機嫌な声で言うと、
「そっか。キスマーク。誰にも見られたくなかったんだ。」
とにっこり聞いいてくる。
「そうですけどね、さっき、しおりんがうなじにキスマークつけたまま仕事をしてた。
って教えてくれました。」と上目遣いでツカサさんを見上げると、
「ばれちゃったか。膝の裏にもつけておいたのはわかったかな?
両手をあげると、ワンピースの白衣から見えるように付けといた。」
と私の顔を覗き込んで笑う。
私は顔が赤くなる。何てことするんだろう、困ったオオカミだ。
「し、知りませんでした。」と言うと、
「今晩も増やしておこうか?」
とクスクス笑ったので、私は横を向いて黙り込んだ。
ツカサさんは車を運転しながら機嫌よく口笛を吹く。
昨日の熱はすっかりよくなったみたいだ。
私もリラックスして、車のシートに寄りかかった。
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