腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ

その32。 ツカサ

目を開けると、コーヒーのいい匂いがしている。
一応、パンツだけは履いてリビングに行くと、
ウサギがキッチンで食事の用意をしていた。
「おはようございます。ツカサさん。そろそろ起こそうと思ってたところでした。」
と僕に笑いかける。僕はウサギを後ろから抱きしめ、頭のてっぺんにキスをする。
「いい匂いだ。今日はベーコンに目玉焼き?ウサギが僕の家にいるようになって、
僕は朝ごはんを食べる習慣ができてきちゃったな。腹が出てこないようにしないとね。」と笑うと、
「朝は作らないほうがいいですか?」とウサギが不安そうに僕の顔を覗く。
僕は首を横に振って、
「朝から、ちゃんと働ける気がするから、一緒に食べるよ。
ウサギがいない時もコンビニでおにぎり買って食べるようになったし。」と笑いかけると、
ちょっとホッとした笑顔を見せる。
ウサギの笑顔は僕を笑顔にする。
毎日家にいて欲しい。とおもうけど、
「今日は15時にウサギのお宅でご両親に挨拶って予定でいいかな?」
と今日は大きな関門が待っている。
これをクリアしないことには一緒に暮らすって事はできないな。
とちょっと、緊張する。
ウサギは大袈裟に溜息を吐き、
「一緒に暮らすのに親の許可なんていらないんじゃないですか?
今だって、ほとんど、半同棲みたいなもんですし」と顔を赤くする。
きっと、自分で言った半同棲って言葉に赤くなってるんだな。
と僕はちょっと微笑む。
「僕は34歳だし、挨拶もしないでいい加減な男だって思われたまま、
一緒に暮らすって事にしたくないんだよ。」と言うと、
「いい加減なオトコじゃあちっともありません!」とウサギは僕を見る。
「…そうなんだけど…オトナのけじめってことで。」
とウサギの頬にキスをして、シャワー浴びることにした。
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