腹ぺこオオカミはご機嫌ななめ
第5章 オオカミの秘密

その14。ミウ

部屋に戻って、先生にメールする。
寝顔が見れてよかったですと返信がきて、顔が熱くなる、
失敗だ。車の中で寝てしまうなんて。

トントンとドアをノックする音がして、しおりんがやって来た。
「無事に帰って来た?」と笑っている。
「もちろんですよ。」とニッコリしておく。
1度抱きしめられたことは黙っておこう。
きっと、菅原先生にとっては挨拶と同じようなものだ。と考える。
「菅原先生って、プライベートではどんな感じ?」と聞かれて、
「車の運転が好きなことと、
ジェットコースターが嫌いなことがわかった。」と報告すると、
「ジェットコースター苦手なんだ。意外〜。」と笑う。

「ミュー、菅原先生の事が好き?」と聞かれ、
返事が出来なくなる。
「先生の事を考えると、
ドキドキしたり、息苦しくなったりする。」と言ったら、
「それは恋だね。」としおりんが言った。
そうか、やっぱり、これが恋か。
でも、
「菅原先生には、好きな人がいる。」と答える。
「奈々さん?」としおりん。
私はそっと頷く。
「奈々さんの事を『特別』って言ってた。」と笑っておく。
「そっか。」としおりんは
「初めて好きになったひとが
バツイチオオカミって大変だねえ」と顔をしかめて来る。
「大変です。」と私は大きくため息をついた。

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