魔王スサノオ降臨

Ⅱ、須佐之男命(スサノオノミコト)の変貌、魔界へ


八岐大蛇(ヤマタノオロチ)の毒により、須佐之男命(スサノオノミコト)の力は強大となり、その体も巨大化を始めます。
このままでは、出雲だけでなく、人間界が消滅することになる。
神々の軍勢が、討伐に向かいましたが、ことごとく鬼になった須佐之男命(スサノオノミコト)に倒されてしましました。
人間界で生まれた八岐大蛇(ヤマタノオロチ)は、人の恨みや妬み、殺戮を好む心から生まれ、心身が増強していったものなので、半神半魔の神の須佐之男命(スサノオノミコト)に対しては、神の力は皆無といっていいものでした。

見かねた天照大神(アマテラスオオミカミ)は、人間界の魔族と闘う勇気ある一族に、草薙剣(クサナギノツルギ)を預け、全てを託しました。
一族と人間界の存亡をかけた戦いが、ここに始まったのです。

まず、須佐之男命(スサノオノミコト)が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を倒したと同じように、八塩折之酒(ヤシオリノサケ)を醸造して、大きな樽にいれました。
心が鬼と化した須佐之男命(スサノオノミコト)には、当時の記憶も失われ、座り込んで酒を飲飲み干していきます。
意識が無くなりかけたその時、一族の長が草薙剣(クサナギノツルギ)で心臓を一刺ししました。
鬼と化した須佐之男命(スサノオノミコト)は悲鳴を揚げ、その場に倒れこんでしまったのです。
しかし、巨大化した体に刺した刀傷だけでは、止めは刺せず、すぐに目を覚まし、また暴れ出します。
そこで、確保を諦めた一族は魔界に通じる井戸から、須佐之男命(スサノオノミコト)を魔界に送り込むことにしました。
連絡口となっている井戸は、時空を歪めることができるので、どんな大きなものでも出入りできるのです。
一族が守っている井戸は8か所。
奇しくも、大蛇(オロチ)の首と同じです。
そのうちの1つ、出雲の井戸に鬼の須佐之男命(スサノオノミコト)を送り込み、そのまま井戸を破壊しました。

これで終わった、人間界も救われたと思われたのですが、なんと魔界に落ちた須佐之男命(スサノオノミコト)が、魔界の半分を征服して魔王スサノオとなり、次は人間界に復讐をする勢いになっていました。
それを察した一族の長は、天照大神(アマテラスオオミカミ)に相談をします。
天照大神(アマテラスオオミカミ)はスサノオの前の魔界の大王である閻魔(エンマ)に密者を送ります。
当時、天界・人間界・魔界は3界の安定したバランスを保つため、適度に行き来を行い、話し合いを重ねていました。
連絡口はそのためのものだったのです。
魔界でもスサノオの力は相当なものでしたが、征服後も閻魔(エンマ)の勢力が頑張り、スサノオ軍と閻魔(エンマ)軍が一進一退を繰り返していたのです。
しばらくして、密者が持参した密書に返事がきました。
スサノオを捕らえ、封じ込める鎖が欲しいと。
普通の鎖では、捕らえても簡単に引きちぎられてしまうということです。
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