時代を越えて、恋人になっちゃいました。


いくらシーズンとは言っても、平日の昼間の海はさすがに空いていた。




「あー、ソウ見て! カニ! 」



私はと言うと、岩場でカニを追いかけていた。


「あ、おま、転ぶなよ! 」


後ろから焦ったようなソウの声が聞こえる。


「大丈夫だって。ソウこそ気を付けてよね」

「俺だってだいじょ、って、わっ! 」

「え、嘘でしょ!? 大丈夫? 」


なんとソウが見事にこけた。

まぁ、ぬかるんでるしねぇ。

私はこけてないけど。


「ってぇ。あーあ、びしょ濡れ」

「大丈夫? 着替えある? 」

「今日体育だからジャージが……ねぇや」

「は!? 」



ソウががっくりとうなだれた。


「学校に置いてきちまったんだよ。部活あったし」

「あっそ。じゃあ私の貸してあげるよ。おいで」



私はソウの前に立って、ひょいひょいと岩場を越えていく。


「そこ、滑ると思う」

「さんきゅ」



やっとこさ荷物を置いておいた砂浜に戻って来た私たちは、それぞれのリュックの中を物色し始めた。



「あー、あったあった。私のジャージでサイズ平気っしょ? 」

「残念ながらな」


ソウの身長は181cm。

対する私の身長は172cm。


すいません、結構でかいんです、私。


てなわけで、多少小さいけど私のジャージはソウも着れる。







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