時代を越えて、恋人になっちゃいました。



私は予想外の発言に目を見開いた。


「急にどうしたの? 」

「いや、俺も好きな人できちゃったんだ。だから……」

「そっか。でも私もそういうつもりだった。別れてくださいって」

「そっか…」



黙った私たちの間を、夏の風が過ぎていった。


「じゃ、俺帰るわ。じゃーな」

「ん、バイバイ」


またね、だなんて言えなかった。


俯いて、バイバイって言うのが精一杯だった。



だけどここで泣くのはちょっと筋が違う。



だから私は、走って家に帰った。









< 69 / 251 >

この作品をシェア

pagetop