六十年後のラブレター

第二次世界大戦は人々の心の弱さを広げ、忠君愛国を強いた。

そんななか、達也の父は戦争反対の信念を持っていたため、周囲の人々から軽蔑の目で見られていた。

父が戦争に反対するため、家族全体が非国民として扱われ、達也自身、非国民の子と呼ばれてずいぶんとひどい目にあってきた。

人気のないこのような森の奥を待ち合わせ場所に選んだのは、自分と仲良くすると優子までもが非国民だといっていじめられるからという達也なりの配慮であった。
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