蒼いパフュームの雑音
「そうだ。紅ちゃん、これ、すんごいいいよ。」
そう言ってカウンターの上に出されたのは、今朝撮影した数枚のポラロイド写真だった。
「これ…なんで?」
「さっき、凛くんと京果ちゃんに会ったんだよ。そうしたら今日撮影だって聞いてさ。いやー、僕の目は間違えてなかった。色々自信付いたんじゃない?」
「自信。…自信か…」
メガネの奥で優しく微笑んでいた。
「このままモデルになっちゃうのもいいんじゃない?紅ちゃんスタイル良いし、本当にいい女だよ。うん。」
ポラロイドを並べながら緋色は言った。
自信なんてない。
全てにおいて、自信なんて持てない。
でもこうして緋色は私の自信を引き出してくれる。
何だか魔法使いみたいだ。
魔法に掛かった私は、優しい眼差しの中、色々な話をした。
好きな音楽のことや、高校生の時バンドをやっていたこと。
六本木のクラブで働いている事や、すぐ近所にある家の事。
私を知って欲しくて、ずいぶんとべらべらと喋ってしまったが、緋色は嫌な顔せず、頬杖をついて終始にこやかに聞いてくれた。