キミの首輪に、赤い糸を。

視覚、嗅覚、聴覚、全てが。

目を開けても、意味がないと思うんだ。

だって、いつも何一つ変わらないんだもん。
薄暗い、真っ白な何もない部屋にいる僕に、変わるものなんて何一つ無い。


匂いを嗅いでも、意味がないと思うんだ。

だって、いつも何一つ変わらないんだもん。
生臭い、鉄のような臭いが、この部屋に充満してる。


耳を澄ましても、意味がないと思うんだ。

だって、いつも何一つ変わらないんだもん。
聞こえるのは、僕の鼓動と吐息。
それがなんとなく、耳障りな気もして。


声を出しても、意味がないと思うんだ。

だって、いつも出してないんだもん。
話し相手がいるわけでもないし。
最後に声を出したのは、いつだっけ。
もう、自分の声も忘れてしまった。
もしかしたら、出さなすぎてもう出なくなってるかも。
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